ふじよしの日記

自分の書いたWeb小説のこと、自分のこと、好きな漫画や小説、日々の雑感など。そんな感じのことを書く日記です。

『婚約破棄ですか、すでに解消されたはずですが』のこと

完結したので作品について語ります!

側妃のこととかヘルムートへの処分あたりが中心です。ちょっとティリシス王国のジェンダー論的なことにも触れます。

 

※しっかりネタバレしてるので、もし興味あるけどまだ読んでなくてネタバレ嫌いな方は、アルファポリス掲載分をご覧の上お読みください。

https://www.alphapolis.co.jp/novel/493580555/269411584

 

 今回の物語の世界では貴族女性の結婚適齢期は18歳~24歳くらいとされてます。結婚適齢期が早すぎるとわたしの中の倫理に抵触してしまうので……

 自分のこと思い返しても20歳そこそこのときとか、子どもだったなとか思っちゃうんですよね。若くて(若くなくても)結婚して子ども育ててる人、本当に尊敬します。

 わたしだったら子どもを不幸にしてしまう気しかしないので。

 

 女性の社会進出については、パトリツィアたちの親世代くらいから始まったという想定で書いてます。それには、ティリシス側妃の活躍が大きいです。

 ティリシスの正妃は伯爵の養子になり当時の王太子に嫁ぎましたが、元は子爵の家の出身かつ女性ということもあって政治の世界には全く口出ししません。宮中行事や式典への参加、伝統的に続けられている慈善事業、あとは貴族婦人向けのサロンなどのお茶会の差配をするくらいです。

 対して側妃は正妃のような仕事はサロンの主催くらいで、式典などへの出席も最低限。各地への視察もどんどん行って国王にも色々と進言。そして議会へもガンガン意見を出し、特に年代が上の貴族議員や大臣たちから煙たがられてます。

 しかし王子二人生んでるので、やっぱり強い。側妃の母方は代々多産&安産な家系なので側妃に選ばれました。

 感想欄の返信にも記載しましたが、側妃は当時王太子の現国王と婚約解消したあと親戚の子爵に嫁いでます。年子の男女をもうけてのちに白羽の矢がたって離婚し、側妃として国王に嫁いで王子二人と王女一人を生んだ上品ながら肝っ玉母ちゃん系の女性です。

 いずれは貴族議会に女性も参加できるようにと、その楔を打ち込むために必死です。学院に女子学生が増えたのも側妃の功績が大きくて、側妃たちが18歳頃の女子学生は5%いかない程度でした。今は30%くらいです。それに伴って結婚適齢期も少し上昇しました。卒業が22歳の規定なので。

 現在、ティリシス王国中央部では教養ある女性が好まれるようになってます。ですが、学院卒業女性がブランド化されてしまっているので、その点は側妃にとって懸念事項です。学院への献金による不正の理由にもなってしまいます。

 そして田舎ではまだまだ女性が男性のように学問したり何かしらの研究したりすらのは嫌がられます。女はちょっとバカなくらいが良い。下手に知恵をつけると逆らうようになるから。そんな価値観の貴族階級が多いです。

 その点マヌエラの両親は先進的でした。元平民で、マヌエラの母が勉強したかったのに出来なかったことが大きいです。

 

 政治や行政の世界って前例のないことを嫌いますよね。なのでヘルムートへの処分についても議会ではかなり紛糾しました。なんせ王子としての身分でマヌエラとの結婚を宣言しちゃってます。しかしヘルムートによって夜会での事件で国としての体面に傷がついてますので、王子だからといってなんの処分もしないわけにはいきません。

 第三王子が王位継承するのに火種が残るのも好ましくなかったのでヘルムートの臣籍降下は確定です。

 けれど侯爵家へ臣籍降下の例はありますが、伯爵家ですら前代未聞です。男爵位なんか有り得ないお話でした。

 そしてレーヴェン家の叙爵理由になった事業は辺境の街道整備です。いまも発展途上の事業なので、陞爵の理由を捻り出そうと思えば出せます。

 そういった擦り合わせもあって、レーヴェン家が伯爵になり、そこにヘルムートが臣籍降下するという形になりました。レーヴェン家にとっても最近家督が譲られたばかりのマヌエラの一番上の兄が騒動の責任を取るという形になり面目がたちます。

 それでもあちこちから反発があると思われますので、今後のレーヴェン家は苦労するでしょう。でもしっかりした両親に兄4人がいるのでなんとかなります。

 ヘルムートも両親から離れて田舎で義兄4人に囲まれて多少は成長することでしょう。ヘルムートとマヌエラの子どもが大人になるくらいの頃には周囲の貴族にも認められるような家になるのではと思っています。

 

 ちなみにヘルムートが廃嫡されたことで、一応の王位継承権は1位が第三王子フェリクス(立太子が確定してるため)、2位が第二王子ヨーゼフ(ただし本人は望んでない)、3位は王弟であるパトリツィアの父ラインマイヤー公爵となってます。ラインマイヤー公爵も臣籍降下してますが、万が一、二人の王子になにかあったときにはヘルムートよりも優先的に王族に戻されるということです。

 まあ、でもとくに問題もなくフェリクスが将来の国王になるのは間違いないです。

 現状、王女には王位継承権がありませんが将来側妃が撒いた種から芽が出て女性の社会進出がもっと進めば、この国でも女王が誕生するかもしれません。

 そして誰でも好きなだけ学べる国になるといいなと思います。